2016年4月30日土曜日

歌手にとっての伴奏者・ピアニスト

伴奏者・ピアニストについて考る機会がありました。
「歌手は身体一つでどこにでも行けるからいいね~」と言われる事がある。大型の楽器は運搬が大変、また小型だから楽というわけでもなく、温度や湿度に気を遣ったり…
声が楽器である自分の喉、身体のメンテナンスにも常々手を焼いてる…(笑)   なので楽器が大きくても小さくてもそれぞれに御苦労がある事は同じ音楽家としてよく分かります。

確かに、声楽家は自分の移動だけでコンサート会場に行けますが、無伴奏・アカペラで歌う事はまずない。伴奏がオーケストラの事もありますが、圧倒的にピアノの伴奏で歌う機会が多い。

「伴奏者」、この言葉を使うのもためらわれるくらい、ピアニストは歌手にとって大切な「共演者」。ピアニストの力量一つで、曲の完成度はまるで変わる。(まあ、その前に歌の技術ありきですが… 頑張ります!汗)

良い伴奏者は歌手のブレス、呼吸を分かってくれ、アウンの呼吸とでもいうのか、一緒にドライビングする感覚?で一緒に曲を奏でてくれる。ピアノの技術云々、ミスタッチ云々ではなく、歌手の呼吸、息の流れ、歌ってる内容、言葉も理解してくれ、合わすというより、一緒に進む感じ。この息を合わす事が相当難しく、「伴奏ピアニスト」という言葉があるくらい、ソロのピアニストとは違う技術が必要です。

歌の先生のお話しで忘れられない言葉がある。「10の歌をいい伴奏だと15にしてくれる。良くない伴奏だと10の歌を5にも時にはゼロ、場合によってはマイナスにもする。」それくらい歌手にとって、伴奏者は大切なパートナー!

歌のコンサートだと大半のお客様は歌手の歌唱、声のみに注目しがちですが、いい演奏を聴いたなあ~と思う影には必ず素晴らしい伴奏がある。次に歌のコンサートに行く機会があれば、ぜひ伴奏者、ピアニストにも注目してみて下さい。今までとは違う楽しみ方ができると思います。

私もいつも素晴らしい伴奏者様達にお世話になり歌っています。このブログでもまた、素敵なピアニストさん達をご紹介していきたいと思います!

※ 写真は兵庫芸文大ホールでの今年のニューイヤーコンサート。リハーサルで調子に乗って… 私がピアノを弾いたわけではなく… 天下のスタインウェイを弾くふりをしてしまいました〜(笑)



 

2016年4月27日水曜日

オペラ「遠い帆」

合唱作品を沢山書いてらっしゃる三善晃さん作曲の日本オペラに2013年12月に仙台公演、2014年8月に東京公演(新国立劇場)に出演致しました。今年8月の「カプレーティとモンテッキ」の演出家と同じ岩田さんの演出で、私にとって岩田さんと言えばこの作品の事を思い出さずにはいられません。

支倉常長の生涯を描いた物語で、登場人物は他に宣教師ルイス・ソテロ、伊達政宗、徳川家康の男性キャスト4人、そして女性は私一人「影」という役でした。紅一点のはず?が…(笑)  唇は青いリップで衣装も女性らしいというよりシャープで格好良かったです。唯一、実在の人物ではなく、狂言回し、語り部的な役割で、状況を説明したり、ある時には支倉常長の分身になり常長の気持ちを吐露したり…  人間でない役?はこれが初めてで、これからもあまりないタイプの役だと思います。

歌はとにかく現代音楽、リズムや音程を取るのが難しかったですが、それ以上に悩まされたのはセリフでした。歌でなく、しゃべるとなると関西弁な私はただでさえ不利。セリフも楽譜上で決まってて、喋り出すタイミング、話す速度など苦労しました。個人的にアナウンサーの元にレッスンにも行きました。それがきっかけで、その後別のオペラの紹介でラジオ出演させて頂いたのも面白い経験でした。

お稽古に入り、岩田さんからは根気強くセリフの御指導頂き、また人間でない「影」という役のキャラクター作りに悩んでると、手塚治虫の「火の鳥」を読むようアドバイス頂いたり…岩田さんには大変お世話になりました。仙台に一カ月近くお稽古で滞在したのも良い思い出です。

『世界の中心ローマなる聖ペテロの座にいまし、あまねく現世をすべたもう法王聖下に、はるか波濤万里を隔てた東の果ての島ジパングより、聖下の忠実なしもべである我らイエズス会宣教者会議一同、謹んでご報告申し上げます。イエズスキリスト御生誕より数え…』案外覚えてるものですね~(笑)  今でもスラスラ出てきます。 7ページに渡る長セリフの後に続くアリア… 影役の見せ場! オペラ「遠い帆」セリフを中心にした動画、7分程ご覧下さい~


2016年4月24日日曜日

オペラ「カブレーティとモンテッキ」 8月のご案内

8/6(土)東京・新宿でオペラ「カプレーティとモンテッキ」(ベッリーニ作曲) にジュリエッタ役で出演させて頂きます。長いカタカナ連発のタイトルですが、お話は「ロミオとジュリエット」。ロミオ家=モンテッキ家、ジュリエット家=カプレーティ家。「ジュリエットとロミオ」ですね…(笑)

いよいよお稽古が始まります。演出は岩田さん。私は三好晃さん作曲のオペラ「遠い帆」という日本もののオペラ以来になります。この「遠い帆」、私の中で強烈に思い出に残っている作品ですので、近々ブログにもその時の事を書こうと思います。

「遠い帆」の事はさておき…今回の「カプレーティとモンテッキ」それぞれのキャラクター設定、特にジュリエッタがこの作品の中でどう生きるのか、他役とどういう人間関係を背後に物語が進んでいくのか、岩田さんの演出プランが聞ける初回稽古が楽しみです。

共演者もすごい方達ばかりで緊張が走りますが… いい緊張に変えながら、お稽古の時間、ベッリーニの音楽をジュリエッタという女性と一緒にしっかり楽しみたいと思います!

NPO法人ミャゴラトーリさんが主催のこのオペラシリーズ、毎回チケットが完売する人気公演です!ご予定チェックの上、ぜひご連絡下さい~  



 

2016年4月21日木曜日

4月マンスリーコンサート終了

東京・池袋での4月のマンスリーコンサート、終了致しました。

お客様に「熊本の事が気懸りでなりません。被災地の皆様の無事を祈りながら、今自分が出来る事、歌う事を精一杯させて頂きたいと思います。」とお伝えしてから演奏に入りました。

毎月違うゲストをお迎えしてのマンスリー、今月はテノールの小笠原さんと共演。昨年のイタリア声楽コンコルソ(日本で大変有名なコンクールです)で第1位を取られた、素晴らしいお声の持ち主。プッチーニの「ラ・ボエーム」の第1幕を一緒に歌いましたが、本当に素敵なお声を披露頂き、客席も湧きました!!

こちらの写真は関東でのテレビ放送で宣伝してたものを、小笠原さんが写真に撮ったものです。私と同じ事をしている~(笑)  私が同じ事をしている?!かもしれません~(笑)



2016年4月18日月曜日

「夕鶴」を英語で歌う… 5/10のご案内

5/10(火)大阪音楽大学のオペラ物知り講座で歌います!
今年は「原語と邦訳どちらがお好き?」というタイトル。同じ曲を違う言語で歌い、その比較や内容について、演出家・中村先生が一般の方に向けてお話、解説をされます。この講座、私も3、4回目?の出演になりますが、毎回違うゲストを迎え、演奏を交えてのお話で、大阪音大で長年続いてる講座です。
今回歌う曲の中に、オペラ「夕鶴」のアリアがあります。勿論、オリジナル・日本語も歌いますが、この日初めて英語でも歌います。
他に「蝶々夫人」「椿姫」、モーツァルトのアリアもオリジナル・イタリア語と日本語で歌います。どれも日本語で歌うのは初めてですが、比較にならないぐらい「夕鶴」の英語は手強い…

外国語→日本語はかなり楽!
日本語→外国語 は難易度高い!

ちょっと考えれば当たり前の事ですが、目の当たりに致しました。

「夕鶴」は昨年、中村先生の演出でつう役をオペラ一本させて頂きました。オペラ一本すると演出家や指揮者からの指導の元、演技、音楽についての長いお稽古が続く。役の全てが身体に染み付く。歌唱する言語も染み付くものの一つで、夕鶴の言語は母国語の日本語…浸透が物凄い!
なので、英語の歌詞を後から入れ込むのはなかなか大変なのです。反面、その作業?練習はかなりおもしろいです。。。
「さよなら~」は単純に「good bye」でなく「Darling, farewell」音節の数を合わせる(音符の数を合わせる)ため、色んな単語を駆使されています。「よひょう~♪」はそのまま「Yohyo」で… 当たり前ですね~


 滅多に聴けない英語の「夕鶴」、そして日本語で「蝶々夫人」「椿姫」、モーツァルトのアリアも歌います! 希少価値ですよ~(笑)  ぜひお越し下さい!